スポーツ嫌いが「SLAM DUNK」を読みました②

この記事はネタバレを含みます。今さらではありますが…(^▽^;)

「SLUM DUNK」の大きな魅力は1にも2にもキャラクター、湘北レギュラーの5人はもちろん、監督やベンチの控え選手、相手チーム、応援団、取材陣も含めて全員が魅力的で、とにかく出てくる人出てくる人みんな「面倒くさいけれど、超可愛い」
ファンは「推しは誰ですか?」で何時間でも話せるでしょうね…。

強いて言えば流川の人柄だけが最後までよく分からないのですが、勁い意志がある人、いい意味の呪いにかけられた人ってああいう感じだね…というリアリティがあって、この漫画の中ではピカ一の王子様キャラでありつつ(晴子も流川ガールズも、女の子はみんな彼に夢中)、不思議と「こんな奴いねーよ」とはならない。
私は予備校の先生をしていた時期があるので高校生の男の子はまあまあ沢山見てきましたが、あのぶっきらぼうでしゃべり下手な感じ、「どあほう」ばっかり言うとか、「あるあるだな」と思います(語尾にピョンをつけるとか変なところにこだわるのも、意味は分からないけれど彼らはやる…なぜかやる…)。

ところで全員が魅力的というのはウソではありませんが(豊玉高校の面々ですら、嫌いになれません)、解像度をあげて一人一人を観察すると「ちょっと苦手」という人はいませんか?
話が散らかるのでここは湘北の5人の中で…ということにしますが、私は、実は花道と三井がちょっと苦手でした。
自分が高校生の頃から、「不良」がとにかく理解不能だったのです。不満があるからってどうしてそっち方向に行くかなあ…(変な学ランを着たり、暴力を振るったり、大声を出したり、パチンコに行ったり。何かと群れるのも嫌だなあ)。結局甘えてダダをこねているだけなのでは…と思ってしまって。画像
困った(だから魅力的な)二人

三井の名台詞の一つ「オレの名前を言ってみろ…!! オレは誰なんだよ」

「いやいや、そこまで他人に頼らなくてもいいだろう。松本君は心配していますよ。自分の名前は自分で言ってろ、甘えんぼ」
と思ってしまい、なんだか、いやに、寿に厳しい私…。

花道の
「ヤマオーは俺が倒す」
も、
「元気なのは分かったがバッシュで机の上に乗っちゃいかんし、ひとの名前を間違えるのは失礼だし、決意は心の中ですればよし。フツーにやれ」
と花道のノリにもいちいち乗れない私…。

一方で彼らを信頼しつつも冷静な行動をする赤木や木暮を見ていると「あんたたちいい子だね。地味だけど本当にカッコいいよ」としみじみ思います。
私事ですが、うちは夫はこちらのタイプなのです。 豊玉と喧嘩になりそうな時「いやだなあ」と言っている木暮とか、彼そのものだな…。

とここまでつらつら考えていて、
「ああそうかっっ!! 嫌なことに気付いてしまった。花道や三井ってなんだかなあ…と思ったのは、自分にそういうところがあるからだ」
面倒くさがりで根気が無く、物事をすぐ投げだすとか、
いやなことは他人のせいにするとか、
実はケンカっ早いとか、
根拠のないハッタリでなんとかしようとするとか、
すべて私にある要素…。
思い当たる節がありすぎる…。

だいたい先ほどの豊玉との一触即発のシーン、読みながら私は
「あー、こいつら(豊玉)うるせーな。やっちゃえやっちゃえ、こっちはケンカ慣れしてるのがいるんだよ(花道、三井、リョータと揃ってる)」
と完全にやる気モードで(暴力は嫌いなのにケンカっ早いって、我ながらどんな性格なんだ…)、赤木にたしなめられて「ちぇ…」と思っていたくらい。
考えたら彼らは高校生だけれど、読んでいる私は50歳。…ほんとダメだなあ。

花道ファン、ミッチーファンの皆様、本当にすみません。
蕎麦屋のおばさんが彼らと似ているとか「ふざけんな!」 とお思いでしょうが、安心してください、ダメなところ以外は全然似ていません。
私が何が言いたいかというと人間ドラマとして優れている「SLAM DUNK」は、キャラクターが深堀りされているので読んでいるうちに読者が自然に「自分」に気付くきっかけを与えてくれる、ということ。
読むカウンセリングというか、ただ「勇気を貰える」「元気になる」漫画ではなくけっこうな内省をも促されます。自分の欠点というか挑戦ポイントをあぶりだし、そこを含めて現実に向かい合おう!! という気持ちにさせてくれるんですね。

まさに
「下手糞の上級者への道のりは 己が下手さを知りて一歩目」(安西先生)

この高校生たちには、本当にいろいろ教えられます。
何か成し遂げたいことがある人は(会社とか組織でも)、自分の中に湘北の5人がいればいいわけです。
たまに自分をのぞき込んで最近流川の要素が足りないな…とか(彼は天性の才能がある上に、なんだかんだ言ってすごい努力家)とか
リョーチンのPGらしい俯瞰力をもっと活用しようとか…。
自分というチームをブラッシュアップさせる。
そうすると目標達成が早いのではないかと思います。
あ、安西先生や彩ちゃんもいるといいですね。

とはいえ、私はもう50だしなあ…諸々手遅れですよね?という思いもたまによぎりますが、
「諦めたらそこで試合終了ですよ」(安西先生)
「まだあわてるような時間じゃない」(仙道彰)
そ、そうでしょうか?そうかもしれません…。

※アイキャッチのせりふは、客席がみんな山王ファン、自分達を応援してくれる人がほとんどいない逆境での赤木の言葉。(つづく)

この記事はネタバレを含みます。今さらではありますが…(^▽^;)

「SLUM DUNK」の大きな魅力は1にも2にもキャラクター、湘北レギュラーの5人はもちろん、監督やベンチの控え選手、相手チーム、応援団、取材陣も含めて全員が魅力的で、とにかく出てくる人出てくる人みんな「面倒くさいけれど、超可愛い」
ファンは「推しは誰ですか?」で何時間でも話せるでしょうね…。

強いて言えば流川の人柄だけが最後までよく分からないのですが、勁い意志がある人、いい意味の呪いにかけられた人ってああいう感じだね…というリアリティがあって、この漫画の中ではピカ一の王子様キャラでありつつ(晴子も流川ガールズも、女の子はみんな彼に夢中)、不思議と「こんな奴いねーよ」とはならない。
私は予備校の先生をしていた時期があるので高校生の男の子はまあまあ沢山見てきましたが、あのぶっきらぼうでしゃべり下手な感じ、「どあほう」ばっかり言うとか、「あるあるだな」と思います(語尾にピョンをつけるとか変なところにこだわるのも、意味は分からないけれど彼らはやる…なぜかやる…)。

ところで全員が魅力的というのはウソではありませんが(豊玉高校の面々ですら、嫌いになれません)、解像度をあげて一人一人を観察すると「ちょっと苦手」という人はいませんか?
話が散らかるのでここは湘北の5人の中で…ということにしますが、私は、実は花道と三井がちょっと苦手でした。
自分が高校生の頃から、「不良」がとにかく理解不能だったのです。不満があるからってどうしてそっち方向に行くかなあ…(変な学ランを着たり、暴力を振るったり、大声を出したり、パチンコに行ったり。何かと群れるのも嫌だなあ)。結局甘えてダダをこねているだけなのでは…と思ってしまって。画像
困った(だから魅力的な)二人

三井の名台詞の一つ「オレの名前を言ってみろ…!! オレは誰なんだよ」

「いやいや、そこまで他人に頼らなくてもいいだろう。松本君は心配していますよ。自分の名前は自分で言ってろ、甘えんぼ」
と思ってしまい、なんだか、いやに、寿に厳しい私…。

花道の
「ヤマオーは俺が倒す」
も、
「元気なのは分かったがバッシュで机の上に乗っちゃいかんし、ひとの名前を間違えるのは失礼だし、決意は心の中ですればよし。フツーにやれ」
と花道のノリにもいちいち乗れない私…。

一方で彼らを信頼しつつも冷静な行動をする赤木や木暮を見ていると「あんたたちいい子だね。地味だけど本当にカッコいいよ」としみじみ思います。
私事ですが、うちは夫はこちらのタイプなのです。 豊玉と喧嘩になりそうな時「いやだなあ」と言っている木暮とか、彼そのものだな…。

とここまでつらつら考えていて、
「ああそうかっっ!! 嫌なことに気付いてしまった。花道や三井ってなんだかなあ…と思ったのは、自分にそういうところがあるからだ」
面倒くさがりで根気が無く、物事をすぐ投げだすとか、
いやなことは他人のせいにするとか、
実はケンカっ早いとか、
根拠のないハッタリでなんとかしようとするとか、
すべて私にある要素…。
思い当たる節がありすぎる…。

だいたい先ほどの豊玉との一触即発のシーン、読みながら私は
「あー、こいつら(豊玉)うるせーな。やっちゃえやっちゃえ、こっちはケンカ慣れしてるのがいるんだよ(花道、三井、リョータと揃ってる)」
と完全にやる気モードで(暴力は嫌いなのにケンカっ早いって、我ながらどんな性格なんだ…)、赤木にたしなめられて「ちぇ…」と思っていたくらい。
考えたら彼らは高校生だけれど、読んでいる私は50歳。…ほんとダメだなあ。

花道ファン、ミッチーファンの皆様、本当にすみません。
蕎麦屋のおばさんが彼らと似ているとか「ふざけんな!」 とお思いでしょうが、安心してください、ダメなところ以外は全然似ていません。
私が何が言いたいかというと人間ドラマとして優れている「SLAM DUNK」は、キャラクターが深堀りされているので読んでいるうちに読者が自然に「自分」に気付くきっかけを与えてくれる、ということ。
読むカウンセリングというか、ただ「勇気を貰える」「元気になる」漫画ではなくけっこうな内省をも促されます。自分の欠点というか挑戦ポイントをあぶりだし、そこを含めて現実に向かい合おう!! という気持ちにさせてくれるんですね。

まさに
「下手糞の上級者への道のりは 己が下手さを知りて一歩目」(安西先生)

この高校生たちには、本当にいろいろ教えられます。
何か成し遂げたいことがある人は(会社とか組織でも)、自分の中に湘北の5人がいればいいわけです。
たまに自分をのぞき込んで最近流川の要素が足りないな…とか(彼は天性の才能がある上に、なんだかんだ言ってすごい努力家)とか
リョーチンのPGらしい俯瞰力をもっと活用しようとか…。
自分というチームをブラッシュアップさせる。
そうすると目標達成が早いのではないかと思います。
あ、安西先生や彩ちゃんもいるといいですね。

とはいえ、私はもう50だしなあ…諸々手遅れですよね?という思いもたまによぎりますが、
「諦めたらそこで試合終了ですよ」(安西先生)
「まだあわてるような時間じゃない」(仙道彰)
そ、そうでしょうか?そうかもしれません…。

※アイキャッチのせりふは、客席がみんな山王ファン、自分達を応援してくれる人がほとんどいない逆境での赤木の言葉。

(つづく)

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