スズメの独り言 ~役に立つ

小さなお子さんのいる家族が「お騒がせしました、ご馳走様~」とお帰りになったあと、
「かわいいねえ」
「あの子、ちょっと前までよちよちだったのに、大きくなったねえ」
とカウンターがにぎやかになることがあります。
車椅子のお客様、杖を使っていたり酸素吸入なさっているお客様がお帰りになったあとも
「出かけるだけでもすごいわねえ」
「励まされるねえ」
と話題になったりします。

お子さんもお年寄りも、ご本人は特に意識していないと思いますが、実はけっこうな数の人の力になっています。

こういう出来事があるたびなぜか思い出す小説があって「ゾマーさんのこと」(パトリック・ジュースキント)、そして「イギリス人の患者」(マイケル・オンダーチェ)。
心に傷を負っていたり、ひどい病気だったり、包帯ぐるぐる巻きで何にもできない状態のひとが、誰かの生きる動機になったりする。忘れられない人になる…。

世界的な大作家やノーベル賞作家にため口で申し訳ないのですが、読むたびに
いやほんと、その通りですよね~(うんうん)!
とつぶやいてしまいます。
最近は忙しくて読み返せないけれど、暖簾を下ろしたらどちらもじっくり再読しようと思っています。

たまにカウンターで
「私も年をとっちゃってなんてもう役に立たないし、昔なら山に捨てられてるわ」
とか

「俺なんて本当につまんない人間だなって思いますよ」
なんておっしゃる方がいらっしゃいますが、

そして私もたまに自分が嫌になってそういう気持ちになることがありますが、

どこか私の知らないところで、知りもしない人が、私のダメなところをダメだなあと笑っていたりして、
役に立たないことがすごく役に立つこともあるのかもしれない…と思ったりもするのです。

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