前回掲載した青木和美さんの記事は、私に代わってモリリンさんがインタビューしてくださいました。
私のページをモリリンさんが執筆して下さったので、
替わりに私はモリリンさんのお料理コラム「モリリン クエスト」のページを書かせて頂くことになりました。
普段料理をしない人(私)のお料理コラムって…(゜-゜)?
どうぞお楽しみください♪
☆☆☆☆☆
蕎麦屋の女将、青柳寧子です。
普段はカウンターの会話を聞きながらお皿を洗っていますが、たまには気分転換も必要ということで、店番を「モリリンクエスト」のモリリンにお願いして、ここで私のズボラ料理をご紹介することになりました。
私が料理無精を極めた経緯と、どこにでもいる人がどこにもいない話
よく誤解されるのですが…
料理人は自宅で調理しないというのは「そういう人もいる」というだけで、
「そば・料理 ありまさ」店主である夫は自宅でも三食作ってくれます。
店ではそばと和食とカレーしか作れないので、イタリアンやフレンチなど、他のやりたいことはうちでしたいとのこと。
考えてみれば学校の先生も、自宅で子どもが勉強に困っていたら教えるそうですし、お医者さんもうちで誰か調子が悪ければ問診するでしょう。
もともと好きなことだから職場じゃなくてもやるよ…という人は普通にゴロゴロいるわけで(有難いですね)
そして私は
やりたい人を押しのけてでも何かしたい!!
という気概は全く持ち合わせておらず、結婚してからというもの台所に立つのはお茶をいれる時くらいです。
よってたかって私を…
ちなみに夫のみならず友達も、例えば美術館勤務時代の先輩は料理研究家に、長年の悪友は30代にして一念発起して調理師になるなど、
何の因果か
「美味しいものを作りたがる人達」。
そしてこういう人達はレストラン検索でも異常に鼻がきくので、彼らとのご飯にハズレ無し。
というわけで、特に熱望した覚えもないのですが、こと食事に関してはかなりの当たりくじをひいているようなのです。
前世でひとのために料理しまくって今回は「一回休み」なのか、これは前借りで後々ご飯関連でひどい目に遭うのか分かりませんが、幸い考えても仕方ないことは考えないタイプです。
食事以外の分野ではきっちり大変なこともあったので、そちらで補填されているのかもしれません。
とにもかくにも、進化の必要がなかったために二億年前から同じ姿のワニ同様、たまに台所に立てば幼稚園児のように無駄のある動作を繰り返す私。
料理全般を託した妻に先に逝かれたら…というおじ様達のそこはかとない不安に心から共感しつつ、だからといって適切な手を打つでもなく、今日も夫のごはんを有難く頂いています。
そんな人でも、できるもん
というわけで、今日はそんな私でも作れる、かつ料理の専門家が「まあまあよし」と言ってくれたレシピをご紹介します。
「ニラ豚」
フライパンに豚のひき肉を入れて、炒めます。
火が通ってきたら、適当に切ったニラを入れ、醤油とオイスターソースで味付けしましょう。
諸々の分量は自分と相談してください。これは私が結婚前に編み出した、誰がどう調理しても美味しい謎のレシピです。
ニラ豚丼にしたり、汁気を切っておにぎりの具にしてもいいですね。
以上。
余談ですが、私の祖母は関東大震災と東京大空襲を生き延び、父も疎開を経験しています。
食べ物は「あるだけで有難い」と言われて育ちました。
出されたものに文句を言うなんてもってのほか、何でも残さず頂くように…と躾けられたので、たとえ自分の作ったものでも、私は感謝して頂きます。
祖母は食べ物は命を養う一番大事なもの、と繰り返し言っていました。
どこにでもいる人は、どこ?
無駄話をしているうちに休憩時間が終わったようです。
モリリンと交代しないと…。
ちなみに連載させて頂いております「蕎麦屋の女将さんが聞いた〇〇のほんとうの話」ですが、もともと店に来て下さる方のお話を聞くのが好きでいろいろと伺っていたところ、つまらない話がないということに驚愕したのがきっかけでした。
記事はいちおう珍しい職業の方にスポットを当てるというテイにしていますが、実際は職業はほとんど関係無く、よくよく聞けばどんな人の話も面白く、珍しく、つまり世間は珍しい人ばかりでした。
どこにでもいる人が、どこにもいない。
カウンターでの会話は、驚くことばかりです。
調理の様子を毎日見ていても料理は一向に上手くなりませんが、この仕事をはじめてからお話を伺うのは少し上手くなった気がします(手前味噌)。
蕎麦屋の仕事は面白いです。
(おわり 執筆2022年秋)