辻明宏さん(辻建材・ロハスウォール代表取締役)2

お隣
お仕事で一番面白いことは何ですか?


人に会えることでしょうね。
普段生活していたら会えないいろいろな人に会える。
大学の先生やお医者さんが、四苦八苦しながら漆喰を塗っている。
仕事をリタイアした方とともに終の棲家の施工をしたり、別のお宅では小学生と一緒に塗ることもある。

壁塗りをすると、いろいろな人達がいろいろな問題にぶつかるわけですが、
自分達の思考回路と違う思考で解決したりするのを見ているとすごく勉強になります。

素人の方が壁塗りをするのって、自分なら何だろう…
普段ほとんど料理なんてしないのにフレンチのフルコースを作るとか…それに相当するくらい、
絶対大変だろうな、と。

大変ですけど、
やりはじめたら面白いし没頭できるし、
でき上がればすがすがしい空間が長期間楽しめる。
漆喰は正しいメンテナンスをすれば100年くらいもつといわれていますから。

ありまささんはもうすぐ10年ですが、きれいですね。

女将
メンテナンスというほどのことはしていませんが、ちょっとした汚れは水ぶきで落とせますし、
手間いらずですね。
塗るのは大変でしたが、この快適さが100年続くなら、長持ちする「ご褒美」だと思います。

お座敷の壁も漆喰です(左の扉は除く)


最近は海外でも塗る方がいらっしゃいますし、世界中に同じような壁が出来るのも楽しいです。

いろいろな方にお会いできるのが醍醐味ですが、逆に
コミュニケーションがとれているのかな?
ちゃんと言いたいことが伝わっているのかな?
変なふうに受け取られていないかな?

…そういう大変さもあります。

うちの漆喰を買って頂いても、全部見に行くわけにはいかない。

気持ちとしては買って下さった方全部のところに行きたいけれど、
いや、いちいち来られても迷惑かもしれませんが(笑)。

最近は必要な方にはラインのテレビ電話で繋がって、塗っている様子を見つつアドバイスもします。

こういうサービスがあると、多少不安が和らぐかなと。

お隣
壁塗りに興味があるけれど腰が重い人、にはどういう助言をするんですか?


気持ちは分かります。まずは家具をどかして…とか大変ですよね。
普段の生活がありますから。

ただ、思い切ってやらないと、いつまでたってもやらないと思うんですね。

思い立ったらすぐ材料を買うとか、そうやって自分に強制するくらいしないと。
だから…気合です!
あーだこーだ言い訳しない。

女将
時間が経つとどんどん年をとって足腰が痛くなったりするので、1日でも若いうちがおすすめです(笑)


動けるうちにやった方が絶対いいと思います。人生は一回きりですから。

プロに頼むと高価だというのは、つまりプロでも大変だということなんですね。
それを素人がやるんだから、当然楽ではない。

そこで負けないためには気合です。気持ち、メンタルトレーニングですね。

とりあえず体験会に来て頂くのはいいと思います。
実際やってみると「私でも出来る!」と自信を持てるので。

結局自分でやらないとコトは動かない、そういうことだと思います。
本気でやりたい人がいると、まわりも感化されて「手伝おうか?」となる。
でも張本人が中途半端な気持ちだと全然手伝ってもらえないし、
「やめときなよー」
みたいな感じになる。

女将
そうですね。

ありまさの常連さんが店の壁をご覧になっているうちに「うちも漆喰を塗りたい」と仰って、
その方はすぐにロハスさんで漆喰を買って、
マイ鏝まで買って(笑)、
やる気まんまんだったので自然と巻き込まれて、当然のように私達も手伝いに行きました(笑)。
デザイナーさんなので、センス抜群です。惚れ惚れするような美しい空間になりました(⇩写真)。


そういうポジティブな気持ちが繋がると、まあちょっとは社会が変わるのかな? とか…

素人が塗るから「失敗するんじゃない?」と心配かもしれませんが、
そもそも失敗って何ですか?
それを失敗だと受け取るか、次の改善点だと受け取るか?
もちろん出来る限りのサポートをしますが、
いろいろやってみるその過程も楽しいです。
漆喰は乾く前ならある程度は塗り直しもできますから、心配しすぎることもないですし。

女将
うちの壁は素人3人(店主、店主の父親、女将)で塗ったので、よく見たら「あらら?」というところもなくはないですが、
でもそれも味だし、
作業しているうちに大らかな気持ちになりました。
自営業はいろいろやらかしても翌日はまた暖簾をあげないといけない、
だから開店前に、「失敗を次に活かす」というこの作業を体験できて良かったと思っています。

いろいろとやらかしても(比較的)へこたれなくなりました…
味噌の仕込み。奥の壁もすべて漆喰。気持ちのいい空間で作業できます。


すごくプラスにとって頂いて(笑)。
もちろんすべてプロが塗るサービスもあるので、どうしてもという方はそちらをご利用頂くこともできます。

本当にいろいろな方と出会える、飽きない仕事です。
大変だけどやってて良かったと思える。
これからも漆喰を文化にしていく草の根活動というか、サブカル路線で地道に頑張って行こうと思います。

今は商品開発をしたり、自然素材なのでなかなか難しいんですが…、
あとは漆喰の楽しさ、面白さを動画で積極的にお届けしたいなと。
そうそう、書籍も出したい!

意識して無添加の体にいいものを食べていても、建材から化学物質が出ているとそれを知らないうちに吸い込んで、健康被害に遭うことがあります。
家の影響は24時間、知らないうちにすごく影響を受ける。
そういうシックハウスに関する情報も開示していきたいので。

まあ本業があるし、時間があまりなくて大変ですが…

お隣
そこはやっぱり気合を(笑)


ですよね~(笑)

おわり(収録 2023初夏)

このインタビューはYouTubeでもご覧になれます!

漆喰のメーカーロハスウォール社長がインタビューを受ける前編
(15分ほど)
https://www.youtube.com/watch?v=5_nywlo2lI8
漆喰のメーカーロハスウォール社長がインタビューを受ける・後編
(12分ほど)
https://www.youtube.com/watch?v=0Kb_P1PpXOQ

辻明宏さん プロフィール
新宿御苑にショールームがある漆喰・珪藻土の専門店ロハスウォールの社長。岡山県産の原料を使った自然素材100%の漆喰と珪藻土を製造販売、施工、DIYサポートを行う。理念は「塗り壁を日本の文化に」

ロハスウォールHP
https://www.lohaswall.com/

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