蕎麦屋の女将さんが考えるあまり普遍的でない接客の極意 ⑫いったん、まとめ

ここまでせっせと書いてきて、ふと気づいたのですが
自分で女将「さん」って
政治家が自分を
「〇〇先生」って名乗るような
一番やっちゃいけないことなのではないかしら…(自分で敬称をつけるという)。

電車の運転手さんも、自分を
「私は電車の運転手さんです」
とは言わないし、私も日常では
「私は蕎麦屋の女将さんです」
とは言わないけれど、なぜか書き言葉だと「女将さん」にしてしまったのは、タイトルを考える時に私の中のエディター目線(私の中の他人目線)が入ったからだと思うものの、しかし冷静に考えると恥ずかしい…。

というわけでいそいそとAmazonで「女将」「本」を検索してみたら、
うーん、こんなに女将本ってあるのか…(゜-゜)
蕎麦屋に限らず、女将さんっていっぱいいらっしゃいますからね。

タイトルに「女将さん」を使っているものがまあまああるので、「さん」をつけても世間的には許されるようですね…。

それよりこんなに女将本があるなんて知らなかったなあ!
長年女将をつとめていらっしゃるベテランの「おもてなし」関係の本も多く、接客についてはこういう長年の経験に裏打ちされた、年季の入ったものの方が確かですよね。
表紙は着物姿の美人さんの素敵な写真が散見され、着物を着ることすら出来ない私が偉そうにこんなことを書いていいのか…。
と、どんどん自己肯定感が低くなったので(笑)このあたりでいったん接客のおはなしをまとめてみようと思います。

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お話を聞きに行きたい…
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勉強になりそうな「女将本」がたくさん。
まずはこういった本を読めよ、私…

今回noteに投稿するにあたりこの9年間の女将生活を振り返って、痛感したのは
自分がいかに「お客様に大目に見てもらっているか」
です。
常連さんはもちろん、あまり頻繁にお会いしない方、数回や一度きりのご縁だった方もいらっしゃいますが、皆さん本当に寛大で、お優しくて…。

原稿を書きつつ自分の失敗の断片を思い出しては
「うっっわ…」
「…(ためいき)」
「わーーー!!!」
と走り出したくなるような、しゃがみこんだまま数年立ち上がれなくなるようなこと、いろいろやったような…
これらは現在、自分を守るために記憶が一部封印されているので、解除されたらまた書こうと思います。

こんな間抜け女将なのに、にも関わらずご来店下さるお客様には足を向けて眠れません。心からありがとうございます。

そして他に選択肢が無いという理由だからなのは知っていますが、こんな人間と働く夫よ、ありがとう。そして今までも、これからも、お疲れ様。

最後につい最近のエピソードを…。
ある日の夜、カウンターにはそれぞれお一人でいらした女性がいらっしゃり、ラストオーダーを伺うと偶然同じご注文でした。

「このお蕎麦、美味しいですよね」
「この時期だけですしね…」

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初夏の限定「冷やし梅ごま蕎麦」7月末まで

そこからお話がはじまり、夏休みの計画、行ったことのある海外の情報交換、最近見た映画や舞台(偶然お二人とも歌舞伎にお詳しくて…)、このあたりの美味しいお店について、個人店に頑張ってほしいけれどあちこちの駅前再開発でどんどん良いお店がなくなってしまう…などなど
閉店時間までお話に花が咲き、私達はそのお花が咲くのを見ているばかり。

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この時私は接客らしい接客は特に何もしていないのですが、
ああ、こういう空間を作ることが出来て良かったな~としみじみ思いました。

この方々はまたここで会ってお話するかもしれないし、もう二度と会わないかもしれない(それぞれに常連さんではありますが、時間帯が微妙にずれたりして)。
でも今ここで、一度きりのお花が咲いている。
ミヒャエル・エンデの「モモ」のラストで、亀のカシオペイアとモモが目撃する「時間の花」のようで、私はとても感動しました。

お二人は閉店時間ぎりぎりまでいらして、でもそこから二軒目に行くでもなく、さらりと別々にお帰りになりました…。

接客道は険しく、私はこれからもいろいろとやらかすでしょう。
ミスしたり、お客様の期待に添えない自分にがっかりしたり、
(相変わらず)腰も耳も悪く、気が利かず頓智もなく、
すっとこどっこいは変わらないと思います。

でも日々学び、お客様や同僚に助けられ、
時折咲く色とりどりのお花に励まされながら、道のりを楽しんでいこうと思います。

12回に渡る駄文にお付き合い、本当にありがとうございました。
皆様それぞれの持ち場での「接客」に幸あれ!!

では本日の営業に行ってきます(≧▽≦)

(おわり)

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