タクシーに乗り、カフェ「海辺のカフカ」まで。
近くなので10分弱です。
雨は降り続いています。
台湾はタクシーが安いのであまり躊躇せず使えるのですが(2023年現在台北だと初乗りが350円くらい)、
この時は当然私達が払おうとしたらMちゃんが
「先に電子マネーで払っちゃったよ~」
と笑っていて、なんというか…またやられてしまいました。
日本に来た時恩返ししますね~。
階段をのぼるとかなり広いスペースが!
50人はゆうに入る、明るくて寛げる空間です。
本やCD、雑貨なども売られています。
お茶を飲んでいると、昨日お世話になったOちゃん、そして初対面のTちゃんが来てくれました。
Tちゃんは長く日本で働いていたそうで、日本語はネイティブのレベル。ペラペラ以上で、なんというか、自分の文体が確立された日本語です。
今は親御さんの介護があって台湾にいますが、妹さんが台湾で活躍するアーティストで、彼女について日本語で発信したりしているとのこと。介護が落ち着いたら、今後は台湾と日本を結ぶ何かをしていきたい…と。
少し話しただけですが、
この人ならできる!
応援したい!
という気持ちになります。私も何か協力できるといいのだけれど…。
音楽の話で盛り上がり、
その後はどうして私達が台湾にはまったのか(Bくんとの出会いについて話しました)、
Mちゃんが日本をくまなく撮影していること(観光地については私達より詳しいくらい)、
Tちゃんのが四国で働いていたこと、
日本と台湾の食の違いについて…
などおしゃべりは尽きません。
Oちゃんの仕事(客室乗務員)はコロナの減便で仕事が減って大変…
などなど、コロナの大変さにも話が及びます。
そろそろ夜市に向かおうか? と言うとき、Tちゃんが私達に
「こんなに台湾を好きになってくれてありがとう! でも少しは嫌なところもあるでしょう? 嫌いなところがあったら聞かせて」
うーん、急に言われてもあまり思いつきませんが…(゜.゜)。
夫は
「嫌いってほどじゃないけど…なんでもゆるキャラにしちゃうところかな? そんなに可愛くないし…」
あら、そこですか?
するとそこにいた3人も
「そうなのよね~。なんか安易なのよ。ちょっとどうかと思う」
と頷いています。
「すごく子供っぽいし」
あら、私はわりとキャラクターものが好きだったりするので、あまり違和感はなかったのですが(笑)
Tちゃんは
「あとバスとかタクシーの運転かな。すごく荒くて怖いでしょ。交通事故も多いし。普段は穏やかなのに、車とかバイクに乗ると急に危険運転する人が多いの…本当に危ない」
私は台南の人達がスクーターの足元に犬を載せていたりするの、すごく好きです(違)。
しかし日本も台湾も、それぞれいろいろありますね。
住んでいる人の視点、旅行者の視線、まだまだいろいろ話を聞きたいですがそろそろ移動です。
※「海辺のカフカ」は閉店してしまいました。また伺えないのは本当に残念!
素敵な空間をありがとうございました。
そこからみんなでバスに乗って寧夏夜市へ。
コインランドリーに寄ってもらって夫の服を乾燥してから、
「一度は食べないと(^▽^;)」
と思っていた臭豆腐を食べに。
臭豆腐は字の通り強烈な匂いがして、慣れないと驚いてしまいます。
私達もびっくりしてしまい、ついつい先延ばしにしてきました。
でも台湾の人達にとっては心休まるソウルフード。
海外で働く台湾人は
「台湾に帰って臭豆腐を食べると『ああ、戻ってきた!』とホッとする」
と言っていて、台湾好きならとにかく試してみないと…。
3人は口々に
「怖がらなくて大丈夫よ」
「すぐ慣れるよ」
「美味しいところに連れて行くから! 一回目だから揚げたものがいいと思う。食べやすいから」
お気に入りだという屋台に入ります。
雨が強いので、ビニールカーテンをまといつつ…
えいっ!!
と揚げ臭豆腐を食べてみましたが…
あ、普通に美味しい!
揚げてあるから匂いも抑えられてるとのことでしたが、次回は揚げてないのも食べてみたい…そう思えるどこか親近感のある味です。
確かに独特の発酵臭と風味がありますが、私は発酵食品好きなのでちょっと珍しい旨味として感じます。
今まで知らなかったタイプの味で、味覚の世界がまた広がりました。
懸案だっただけに、台湾の一部をしっかりと体に取り込んだような満足感も広がってきます。
麺もスープも臭豆腐もお団子も、五人で分けたら瞬く間になくなりました(笑)。
地瓜球を食べるとMちゃんはすっと立ち上がり
「夜市を楽しんで貰わないと…今度はB級グルメの店ね」
あ、もしかしたらテレビで見たあれかしら…
5分も歩かないうちに着いたのは、そうです、台南名物の牡蠣オムレツ!!
台北ならこの店、という有名店です。
小ぶりのぷりぷりした牡蠣が沢山入ったお好み焼きのようなもの。
「まだ食べられるね~」
とMちゃん。私は結構お腹いっぱいですが…
「そういえば寧子さんは温かい豆花が食べたいのよね? この近くに良い店がありますよ」
Tちゃんは人混みをすいすい掻き分けて案内してくれます。
着いたお店のメニューには台南で食べられなかった温かい豆花が!!
「ここの豆花は繊細な甘みが特徴で、以前来た日本の友達は感動して泣いていました」
確かに優しくも奥の深い味わい、そしてあまりにもなめらかな舌触り…。
最終日で疲労はピークなはずなのに、不思議な安らぎを感じます。
雨で冷えた体に、温かみがあるのも本当に有難い…。
「私達は若い時に、豆花を食べながらずっと喋っていましたよ。何時間も」
「ここに来ては『将来どうしよう』と話し合っていました」
3人はそれぞれの道に進んで、大変なこともあるけれど(先ほどのカフェで聞きました)
でも豆花を食べながらお友達と喋って笑って、また次のステップに進んでいく…。
台湾の女の子たちは豆花とともに年月を重ねていくのかも、と思うと豆花の味はますます深くなります。
話はつきないけど飛行機の時間があるからね…(´;ω;`)ウゥゥ
ということでOちゃん、Tちゃんとお別れ。
Oちゃんは別れ際に
「寧子さん、生理の時はこれで体を温めるといいですよ」
黒糖生姜茶をプレゼントしてくれました。
夫が鶯歌で言ったことを覚えていてくれて、買ってきてくれたそうです!
気を遣わせてごめんなさい…でもとっても嬉しい!
再見!!
また会いましょう(^▽^)/
Mちゃんはわざわざ台北駅まで来てくれました。
夫に「レインコートは着ていくといいよ、あげるよ」と言ってくれます。
本当に助かります。
名残惜しいけどここでお別れ、昨日今日と本当にありがとう。
すぐまた日本に来るそうでし、連絡してね!
MRTで桃園空港に向かいます。空いていて良かった。
「しかし、痛いな。飛行機で寝れるかな」
夫は胸のあたりがかなり痛むようです。
かわいそうに…。
つける薬はありませんが、せめて楽しい記憶で気を紛らわして頂きましょう。
「中国語かなり通じてたね。かわいい女子たちに『発音きれい~』って言われてたよ」
「いや、俺の中国語が上手いんじゃなくてOちゃんやTちゃんの勘がいいんだよ。日本語もわかるし」
「でも日本語ができないMちゃんも一緒に、四人で中国語で盛り上がってじゃない?」
「確かにね~。早口で理解できないところもあったけど、おおよそついていけたしね」
この旅で中国語を使い続けたこともあり、夫の中国語力は明らかに成長していました。
咄嗟の一言もすぐに口をつくようになり(言い淀まない)、私は旅の前半でまあまあ英語を使った記憶がありますが、後半はほとんど必要なかったくらいです。
そういえばTちゃんは日本語だけでなく英語もできるそうですが
「中国語は読むだけならともかく、リスニングやスピーキングは英語より格段に難しいと思います」
と言っていました。
中国語道は険しいけれど、あなたは一歩一歩着実に進歩しているようですよ。
空港について、私は有名ゆるキャラ「台鉄ベア」をパチリ。
そして肋骨が痛む人とともに飛行機に乗ること3時間ちょっと…
無事成田に帰ってきました。
さあこれから忙しくなりますよ。
私達は蕎麦屋で、今は師走。年越し蕎麦の準備がはじまります。
でもとりあえずはこの人を病院に連れて行き、私は洗濯をして…。
帰国したとたんに現実が雪崩れ込んでくるなと思いつつ京成線に乗ろうとしたら夫が
「だめだよ、ここだと乗り換えの時にエスカレーターが遠くなるからね。ホームのすみ、あっちに座ったほうが無駄がないよ」
そうですか…。
私は方向音痴で、またこういうことは「どっちでもいいや!」と思うタイプで、車両とエスカレーターの位置関係などは覚えられないのです。夫がしっかりしてくれて、助かります。
考えてみたら夫はこの旅の何から何までを手配してくれたのでした。
私が発案したわけではないし(うちにいてもいいわけだし…)とは思いますが、
とはいえ電車も、飛行機も、ホステルも民泊も、そしてお友達とのセッティングも、あちこちの観光スポットも食事処も、すべて彼が計画。
私は突発的に「本が買いたい」「豆花が食べたい」というくらいで、特に何も考えずについてきただけでした。
それなのにこんなに素敵な経験をさせてもらって…!
出かけたくない旅も出かけてみるものです…いやまあ、今後も自発的には出かけたりはしませんが。
京成線の旅は長く、うつらうつらしてしまいます。
朦朧としつつも
「台湾の人達にも本当にお世話になったな」
と思い返します。
台南のBくんやJちゃん達と阿里山に登ったことは一生の思い出です。
そしてわざわざ訪ねて来てくれたIちゃんとのひととき…。
高雄の民泊の守衛さん、嘉義駅前のやんちゃなお兄さん、台中の素敵なおばさま、
Mちゃん、Oちゃん、Tちゃん…
阿里山や四四南村では見ず知らずのおじさんが体調を気遣ってくれたり…。
夫は常々
「俺はどうなってもいいから台湾には幸せになってほしい」
って言っていたけれど、むしろ台湾に心配をかけ、台湾から沢山の優しさを頂いた旅でした。
さあ、そろそろ乗換駅。うちに近づいています。
早朝で、まだ利用者が少ないですが…
「あっ…!!」
あ~…。
「エレベーターが、ないね…」
…逆だったね。
…ホームをまたすみからすみまで歩かないと、だね…。
とほほ~と笑いながら、私達はいつもの日々に、「通常営業」に戻っていったのでした。
(出不精旅日記・おわり)